20Feb

はじめに
むかしは「うつ病」などのメンタル疾患は周囲から理解されにくい病気で「気のせい」や「心がけ次第」などと言われた時代もありました。
近年「うつ病はこころの風邪」という表現が一般的になり、精神科もそれほど敷居の高い診療科ではなくなっています。
それでも体の病気と違い、こころの病に関してはどうしても「思い込みじゃないか」「甘えじゃないか」「怠けているだけじゃないか」「頑張りが足りないのかも」という、病気に対する否認が働きます。
書籍やインターネットでかなり広く知られるようになったうつ病ですが、自分の状態がはたして精神科を受診するほどなのか、それとも様子をみてよいのかは、なかなか判断がつきません。
私は20年ほど前にうつ病の診断を受けて治療をし、治癒しました。
そして、現在私は「心サルコイドーシス」の治療のため、大量のステロイド(プレドニン)を服用しています。
プレドニンの副作用に「気分障害(躁状態、うつ状態)」があるため、自分のメンタル面にはつねに注意を払っています。
今回は、うつ状態になったときに具体的にどのような症状が出るのかを記事にすることにします。
注:症状のでかたには個人差があります。
うつ病の診断基準
これに関しては、書籍でもネットでも調べられますので簡単に記載することにします。
以下のうち1か2の症状を含む5項目以上が2週間続いている場合に「うつ病」と診断されます。
うつ病診断基準
- 抑うつ気分
- 興味・喜びの喪失
- 食欲減退・体重減少
- 睡眠障害
- 焦燥感
- 易疲労性
- 無価値観・罪責感
- 思考力・集中力減退、決断困難
- 希死念慮
うつ病あるある
さて、診断基準だけを読んでもあまりピンとこない人が多いかと思いますので、「それはうつかもしれませんよ」という症状を具体的にピックアップしてみます。
これは自分自身と親しい友人の経験、プラスYouTubeなどで発信していらっしゃるかたがたの情報からいくつか拾い上げました。
うつ病の本などにはあまり書かれていないかもしれませんが、経験者に聞くと「あるある!」という内容です。
お風呂に入れない
お風呂に入れないとはどういうことか?と健常者のかたは不思議に思われるかもしれません。
しかし、誰もが当たり前にこなしている「入浴」という作業ができなくなることが実際あるのです。
基本的にお風呂は心身のリフレッシュになりますし、本来気持ちのよいものです。
私もお風呂は好きで、いろいろな入浴剤などを集めて楽しんでいます。
が、あるとき急に入れなくなるんです、お風呂に…。
それから顔も洗えなくなります。
女性は化粧をしますので、夜に入浴しないときでもメイクオフはします。
しかし、それができなくなります。
本来気持ちがよいはずの入浴や洗顔が苦痛になるのは、うつの兆候です。
そんなときにはせめてお顔をふくだけでも気分が違いますので、ふき取り用のクレンジングがあると便利です。
コットンでささっとふいて、あとは寝てしまいましょう。
元気になったら水やお湯で顔を洗えばいいのですから。
テレビがうるさい
楽しみにしていたテレビドラマを、録画予約をしていたので観ようと思って再生します。
ところが、観てもまったく面白くないばかりか、ストーリーも理解できずだんだんイライラしてきてとうとう「ブツッ」と電源オフにしてしまいます。
ニュースは、コロナ関連では毎日新たな情報を知る必要がありますし、最近では東北で発生した地震、オリンピックの森会長の後任は誰かなど、国民として知っておくべき事柄がたくさんあります。
そこでニュースやワイドショーなどの時間にテレビをつけるのですが、「うるさい」「どうでもいい」という気分になり「ブツッ」とオフにしてしまいます。
コメンテーターの人が様々なご意見を話しているのを聞いて「なに言っちゃってんの、この人。うるさいんですけど」と独り言をいってテレビを消すようになると、かなりうつかもしれません。
いずれにせよ、世の中のできごとに興味が薄れてきているのは、うつに入りかけているサインと私はとらえています。
本が読めない
私はもともと活字が好きです。
Kindleなどの電子書籍よりは昔ながらの「紙の本」が好きです。
紙のページをめくっていると、なんともいえぬ幸せを感じることもあります。
ところが、うつっぽくなると本が読めません。
1ページはなんとか読めます。
2ページ、3ページ目となると、目で活字は追っているのに内容はアタマに入っていないことがあります。
そして静かに本を閉じます。
活字が読めなくなるのも、私の場合はうつの症状のひとつです。
電話ができない
トモダチと世間話をするための電話ではなく、必要かつ機械的で簡単な電話ができません。
「謝罪」や「苦情」などの、少々難易度の高い電話とも違い、できない理由がないはずの単純な電話のことです。
たとえば、灯油の注文電話やタクシーの予約電話など。
また、私は確定申告のため、なんどか税務署やその他の機関に問い合わせ電話をする必要がありました。
それがなかなかできません。
ただ機械的に電話をかけ、聞きたいことを聞くだけの簡単な電話ができないと、うつっぽいと感じます。
からだがだるい
微熱があるような感覚がして検温しても、平熱です。
ただ、からだがだるくて風邪のひきはじめのような症状があります。
だるいので、キューピーコーワゴールドやチョコラBBのような市販薬を飲んでみますが、改善されません。
そんなときはこころの不調を疑います。
甘いものの過食
ふだんから甘いものを毎日食べている人は別として、通常以上に甘いものを過食するのはうつの兆しです。
特に「冬季うつ」や「季節性うつ」といって、日照時間が短くなる冬にうつっぽくなる人に甘いものの過食傾向があるそうです。
原因は諸説ありますのでここでは割愛しますが、現象としてそういうこともあると知っていただければと思います。
私はセブンイレブンの「つぶあんマーガリン」という菓子パンを1日に5個くらい食べ続けたことがございます。
アルコールの過剰摂取
もともとお酒を飲める人が「うつうつしているとき、ちょっと一杯ひっかけたら気分が上がって家事や仕事がはかどる」ことを覚えて病みつきになり、アルコール依存症に移行するケースもあります。
アルコールは一時的には気分を高揚させますが、長期的には抑うつ気分を引き起こす物質。
YouTubeで精神科医の樺沢先生も「うつ病が治らない人の特徴」のなかで「常習的に飲酒している人」をあげています。
私は過去に精神科の主治医から「お酒やめないとうつは治らないよ」と言われて、約10年間断酒しました。
朝から「酒の一杯も飲まないと体が動かない」という人はうつがお酒を過剰に飲ませている可能性があります。
オススメYouTubeチャンネル
お若いのにとてもしっかりした方で、ご自身のうつ病経験からたくさんの情報を発信なさっています。
うつ病の既往のある人にとって、一番怖いのが「再発」です。
ほっしーさんが再発しないために心がけていることの数々は、とても参考になります。
こちらは患者さん当事者のチャンネルとして、非常に役にたち共感しました。
おなじみ樺沢先生のチャンネルです。
先生は書籍も多くだされています。
この本は私も購入しました。
343ページもある、かなり読み応えのある一冊です。
いたるところに付箋を貼って読んでいますが、あいにく今はちょっとうつ気味なので集中できていません。
目次を見て、自分に関係のある項目や興味のあるところから読んでよいと思います。
樺沢先生が動画のなかで「うつ病は買ってから3年経ったスマホのようなもの」「すぐにバッテリーが切れる」とおっしゃっていました。
的を射たたとえで、関心しました。
おわりに
この記事は今うつっぽいかた、うつ病治療中のかた、寛解しているかた、再発かもしれないと感じているかた、身近にうつ病の人がいるかたなどに共有してもらえれば幸いです。
「うつ病はこころの風邪」という表現は「風邪のように誰でもかかりうる病気である」という意味であって「風邪のように軽いものです」という意味ではないと私はとらえています。
本来楽しめていたことがおっくうになったり苦痛になったり、簡単にできるはずの日常動作ができなくなったら、一度はうつを疑ってみてもよいかもしれません。
まずは自分自身をよく観察して自分の状態を知ること。
そして専門家(精神科医やカウンセラー)に頼ることが重要です。
メンタル疾患に関しては、相談する相手を慎重に選ぶ必要があります。