6Sep
※English Journal は2023年1月号をもって休刊となりました。バックナンバーの購入は可能です。
English Journalとは
アルク社出版の学習雑誌で「本物のリスニング力が身につく」と評判の月刊誌です。また、ヒアリングマラソンの副教材にもなっており、ヒアリングマラソン受講中の人にはテキストとともにEnglish Journal(以下EJ)も毎月送られてきます。
※アルク社ヒアリングマラソンは2023年1月号をもって販売休止となりました。
私は2012年ころに英語の再学習を始め、EJを買ったものの当時は手も足も出ない教材で本棚の飾りになりました。その後少しずつ英語力があがり、今は内容を理解して楽しんで聞いています。
この記事では、私が行っているEJの学習方法をご紹介します。
EJの構成
大きくわけて、「特集」と「学習コーナー」があります。その他「連載」「特別企画」「情報コーナー」もありますが、ここでは「特集」と「学習コーナー」について書いていきます。
特集
興味深く時流に乗った特集がくまれていて、内容に応じて細かくトラック分けされているので、聴きやすい作りです。
2019年7月号の特集は「G20大阪サミット開催」でした。
「世界のこれからを英語で考えよう」という趣旨で、3人の外国人ジャーナリストのかたがたが参加し、以下の4つのテーマについてそれぞれ1対1で英語で話し合っています。
[ディスカッションされたテーマ]
- 気候変動
- AIとロボット工学
- 国際貿易
- デジタル課税
学習コーナー
多くのページを割いている学習コーナーが、EJのメインです。この学習コーナーをもれなくやり通した後は、スッキリすがすがしい気分になります。
学習コーナーは世界の著名人のインタビューやスピーチ、ニュース、レクチャー、フリートークなどバラエティに富んだコンテンツであふれています。学習コーナーには、それぞれ聴き取り難易度と速さが書かれていますので、リスニングの目安にしましょう。
参考までに、7月号学習コーナーのコンテンツと難易度を下に書いてみます。
[コンテンツとレベル]
- インタビュー 1:レベル3
- インタビュー 2:レベル3
- エッセイ:ケイ・ヘザリのTea Time Talk:レベル2
- フリートーク:Quick Chat:レベル3
- ニュース:World News 3本:レベル3~4
- レクチャー:レベル4
- クイズ:Mystery Speakers:レベル2
- レベル1~2:初級向け、英検 ~2級、TOEIC ~730点
- レベル3:中級向け、英検 2~準1級、TOEIC 730~860点
- レベル4~5:上級向け、英検 準1級~、TOEIC 860点~
※ただし、レベル1は見たことがありません。レベル5は私が購読している範囲では、ベネディクト・カンバーバッチさんのインタビューだけです。
カンバーバッチさんは機関銃のような早口のイギリス英語ですから、最初はほとんど聞き取れませんでした。しかし、レベル5の英語であってもあきらめずに時間をかければ、シャドーイングもできるようになってきます。
EJのコンテンツのほとんどはレベル3~4に設定されています。よって、EJをこなせるレベルは中級以上ということになります。レベル3と4の違いが私にはよくわからないのです。
私の印象では、話すスピードがものすごく速い、難易度が高い語彙が多く使われている、話者が英語ネイティブではない、などはレベル4に設定されているようです。
インタビューやスピーチは、英語が母語でない人も含まれています。日本人ではかつて、iPS細胞の中山伸弥教授のレクチャーや楽天の三木谷社長のスピーチもありました。
ほかにエマニュエル・マクロン仏大統領や、マララ・ユスフザイさんのインタビューなどもあり、英語が母国語でない人でも、堂々と英語を話していることは感動的でした。
インタビューやスピーチ、レクチャーに登場するかたは、やはり英語ネイティブが圧倒的に多いですが非ネイティブもときどき登場しています。
私のEJ学習法:インタビューやスピーチの聞き方
- 何も見ずに、予備知識なしの状態で2回聞く。
- 理解度が低い(よくわからない)と感じたら、日本語で書かれた「聞く前に」のページでインタビューの背景や理解のためのキーワードを読んで再度聞く。
- インタビューの概要がわかったら、スクリプト下の語注を見ながら聞くが、まだスクリプトは読まない。
- 「聞いた後に」の内容理解クイズ(音声を聞いて内容と合っていればT(True)、違っていればF(False)を書き入れる問題が5個)を聞く。
- 内容理解クイズで話されている内容が明瞭になってくるので、さらにメモなどをとりながら聞く。
- そろそろスクリプトを見たくなるが我慢し、最後の最後まで見ない。
- もうこれ以上聞き取れないところまできたら、やっとスクリプトを見る。
- 知らない語彙や表現にマーカーで線を引き、内容理解クイズの答えとなる部分もスクリプトで見つけて線を引く。
- ディクテーションとシャドーイングはほんの数行だけ指定されているので、それを行って完成。
- ここまでくるとほとんど内容が理解できているので、あとはリラックスして聞く。
以上が、ふだん私が行っているEJの聞き方です。最初からスクリプトを見ないのは、できる限り耳で聞き取って内容を理解する訓練のためです。
EJと他の教材の違い
EJに収録されているインタビューやレクチャー、スピーチは「生の英語」であるということ。それに対してスタジオでプロの吹込み者のかたによって吹き込まれた音源は、きれいすぎてあまり現実的ではありません(作られたきれいな英語が悪いとか劣っているという意味ではなく)。
EJレクチャーやスピーチでは話し手のかたが原稿を書いているかもしれませんが、棒読みしているようには聞こえず、温かみのある音声を聞くことができます。
インタビューは記者会見の場だったり電話取材だったりで、声のほかにいろいろな音が入り、臨場感があります。記者会見では、フラッシュをたく音が頻繁に入ることもありました。
英語教材としてスタジオで録音されたきれいで完璧な英語とは違い、言いよどみや言い間違い、言葉のつまりなどが入っていてとてもリアリティがあるのが、EJに入っている音源です。
つまり、EJはより現実的な英語に近い音源が入っている教材と言えます。
EJは難易度が高く、英語の再学習を始めたころは「まったく身分不相応な雑誌を買ってしまった」と後悔したものです。しかし今では楽しんで学習できる一冊になっていますので、あきらめずに継続することが大切かもしれません。
生英語とスタジオ録音英語との使い分け
私は以下のようにしています。
生英語
実際に英語ネイティブの人たちが話しているのは、いいよどんだり間違えたりするほうが自然です。完全なセンテンスでよどみなく話せるのは、ナレーターやアナウンサーのかたくらいでしょう。
音声的にはリンキングやリダクション、フラッピングが頻繁に発生し、日本語の発音との違いを知ることになります。「これが、英語圏で話されている自然な英語に近いのだ」と、まず認識することが大事なのでしょう。
スクリプトを見ないで聞きはじめ、メモなどを取りながら内容理解につとめます。あまりに早口すぎたり、逆にゆっくりすぎる話し方だとシャドーイング向きではありませんが、適宜好みのものを選んでシャドーイングしています。
スタジオ録音のきれいな英語
こちらは、オーバーラッピングやシャドーイングで大いに利用しました。初心者のうちは、言いよどみや言い間違いのある生英語よりも、原稿がある英語をスタジオで録音している音源が向いています。クリアで聞きやすく、正確な発音や文法も学びやすいです。
私は現在、NHK語学の「実践ビジネス英語」を声を出すトレーニングの主な素材にしています。EJもシャドーイングで使いますが、どちらかというと「耳を鍛える」用途で聞くことが多いです。
まとめ
- EJは生英語のリスニング教材としては最強です
- ネイティブ、非ネイティブのありのままの英語が聴ける秀逸な教材です
- 英語学習を始めたばかりのかたなら、きれいに録音されて文法も正しく発話されている教材を使うほうがベターです
- もう少しレベルが上がってきたら、EJのようなナチュラルな英語が収録された素材を使うことをオススメします