5Jul

手術
予定通り6月8日(月曜日)13:00にペースメーカー植え込みの手術が始まりました。
術後に主治医の先生から家族への説明があるので、家族に14:30にHCUに来てほしいとのこと。
息子には電話でその旨伝えておきました。
今回の手術は局所麻酔で行います。
麻酔をするので術中は痛くないものと思っていました。
ところが…。
麻酔をしても痛い
今回切る場所は左鎖骨の下です。
5センチほど切開し、そこにペースメーカーを植え込むとのこと。
手術について様々なサイトで情報収集しましたが、このサイトがわかりやすかったです。
まず、切開部位に麻酔の注射をします。
その針を刺すこと自体、非常に痛いわけです。
歯科医院で抜歯をする際に麻酔が痛いのと同じで、数カ所刺されているうちに痛みは鈍くなりました。
ところが、手術中ずっと痛いんです!
「これ、麻酔した意味あるのかな、もしかして麻酔効いていないの?」と思いながら、「痛いっ!」と声がでます。
「え、痛いですか?」と聞かれるので「はい、痛いです!」と(強くきっぱり)言いましたとも。
手術中は頭から布のようなものをかぶせられていて何をされているのかわからず、余計に不安と痛みが増しました。
途中、切っている場所である左腕の付け根あたりをギュッギュッと押される感覚がありましたが、あれは何をされていたのでしょう。
とにかく早く終わってくれー!と心のなかで叫んでいました。
あまりの痛さに「どうして全身麻酔でやらないのでしょうか?」と聞きました。
「深呼吸や咳など、手術の途中に患者さんに協力してもらわなくてはいけないからです」とのこと。
かなり我慢はしましたが「今どの段階ですか?あとどれくらいですかっ?」は何度も聞きました。
昔、子宮筋腫でオペを受けたことがあるのですが、全身麻酔だったためきっちり1時に麻酔がかけられ、ぴったり2時に覚醒しました。
今回は何をされているのかはよくわからないけど意識はしっかりあり、術中とにかく左鎖骨あたりがとても、しかもずっと痛かった、ということです。
主治医の先生のほかに、どなたか存じませんが右側にもおひとりドクターがいて、その方が私の体を押さえ(つけ)ていました。
やっと終了
術後はHCUに一晩入ることになりました。
HCUはHigh Care Unitの略で、「高度治療室」とか「准集中治療管理室」といわれるお部屋です。
ICU=Intensive Care Unit:集中治療室はよく聞いても、HCUは耳慣れない人も多いかもしれません。
ICUに入るほど症状が重くはないけれど、一般病棟ではちょっと難しいという患者、術後の患者などが収容されるお部屋です。
術後
ペースメーカーの手術は終わり、HCUに移動させられました。
痛み止めの点滴が効いているのか、少し朦朧としていたところに「息子さん来てますよ」と聞こえ、目を開けると息子がベッドわきにいました。
目を開けて息子を見たときに「あれ?髪切ったの?」と聞いたのが、今でも謎です。
おそらく薬でうとうとしているところを起こされたので、意味不明のことを口にしていたのでしょう。
いろいろ話したかったのですが、声がかすれてあまり話せず、適当なところで息子は帰ってゆきました。
翌日に息子は勤務地に戻る予定で、あとはしばらく会うことができません。
「気をつけて帰ってね」と言うのがせいいっぱい。
とにかく、傷口が痛くてたまりませんのです。
「痛いの当たり前よねぇ、指の先ちょびっと切っても痛いんだから」と自分に言い聞かせました。
術後は、左手が動かないように固定バンドで胴体に左腕を固定されました。
夕食
夕食から食事ができます、と手術のスケジュール表には書いてあります。
ベッドごと起こしてもらい、おにぎりとなにかおかずを少し食べた気がします。
左手は固定されているので、まったく使えません。
あまり食欲はなかったですが、使える右手でおにぎりを少し食べました。
モニタを見ると、心拍数はきっちり80を示しています。
「あぁ、これが正常なの心拍数なんだわよねぇ、助かった」と思いました。
術後は手に点滴、血圧計、指には酸素濃度を測るパルスオキシメーター、尿道には管、そして鼻から酸素吸入されていました。
鼻につけていたのは↓こんなのです。
これが、とっても不快でした。
これで体内に酸素が送られているのは理屈では理解しています。
しかし実際に装着すると酸素のありがたみを感じるわけではなく、ただただ鼻の異物感だけがあります。
HCUの看護師さんに「これって、はずしてだめなんでしょうか?」と聞いたところ「酸素は心臓の栄養なんですよ」(つまり外すのはだめ)とのお言葉。
昨年の3月に母が亡くなりましたが、危篤状態になってこの酸素カニューレをつけられました。
ほとんど意識がないのに、ふと見ると母親はそれを鼻から外してしまいます。
付き添っている私と妹はそのたびに鼻にあてがうのですが、また外されていて、しまいには頭の上にそのカニューレがのっかっていたこともありました。
自分がそれを装着されて「ああ、あのとき母親はものすごーくイヤだったんだろうなぁ」とやっと理解することができました。
傷口に加えて腰痛が
術後ベッドに仰向けに寝ているわけですが、しだいに寝返りを打ちたくなりました。
でももちろん自力では動けず、少しでも体を斜めにしようとすると傷口が激しく痛みます。
2度ほど点滴に痛み止めを入れてもらえたので眠ることはできたのですが、薬が切れてくるとまた痛みが襲ってきます。
明け方、腰が痛くなり、どうにもこうにも苦痛でしかたありませんでした。
下半身だけ、膝をたてたり、たてた膝を左右に倒したりしてみましたが、何の解決にもなりません。
腰が板のようになり、横を向いて丸くなって寝たい!でもできない、というジレンマ。
すると、HCUの夜勤の看護師さんが「傷が痛いのは仕方ないけど、腰の痛みはしんどいってみんな言うんですよー」とのこと。
「ああ、皆さんそうおっしゃるんですか?」に「ええ、皆さん言いますよー」と。
それじゃぁ仕方ない、我慢するしかないわと思っていたら「痛み止め飲んでみる?」と聞かれたので「はい、ください」と即答です。
気持ち、効いたような気がしました、鎮痛剤。
そうこうしている間に朝ご飯の時間がやってきました。
ベッドを起こしてもらえたことで、腰の痛みはほとんど消失。
朝のうちに鼻の酸素と尿の管が外され、体はかなり楽になりました。
ベッドから降りて椅子に座らせてもらい、点滴を持ってトイレにも行ってみました。
「携帯とかみますか?」と聞かれたので、バッグからスマホを取り出してメールやSNS、ニュースをチェック。
椅子に座れた時点で腰の痛みは消え、スマホを手にして安心しました。
普段、いかに自由気ままに過ごしているかがよくわかりました。
好きなときに寝返りが打てる、自力でトイレに行ける、スマホを見ることができるなど、当たり前にしていることが阻害されたことで、健康のありがたみを思い知ったわけです。
一晩HCUで過ごした後、10:00に病棟の看護師さんが迎えに来て、車いすで前の病室に戻りました。